アフリカン・ロストバゲージ

Original Text (English)

エンテベ空港にて荷物を待つが一向に出てこない。僕のWS in Ugandaはロストバゲージから始まった。
初海外だというのに僕は調子に乗って安くすませようと思い 成田→那覇→バンコク(3日滞在)→マスカット→ドバイ→キガリ→エンデべ という乗り継ぎに次ぐ乗り継ぎの行き方にしてしまった。道中はトラブル続き、沖縄では飛行機が3回着陸に失敗する。バンコクではタクシーの運転手と喧嘩になり、ドバイでは詐欺にあいそうになる。そしてウガンダに荷物は届かなかった。現地で待ってくださっていた先生方はロスバゲ?とか言いながらニヤニヤしている。結局荷物が全て無いまま僕のウガンダでの生活は始まった。

とにかく物を持っていない、着替えも一切無い。アフリカの地で何手に入るのかも検討がつかない。滞在場所に車で向かう道中、必死に生活物資がどのくらいあるのかを探った。そこで気づくのだが、意外と物はある、服が山積みになった市場、ペットボトル飲料でいっぱいのトラック、スーパーマーケット。とりあえず現地で必要なものを揃えることはできそうだ。また、相当汗をかくものだと予想していたが湿度が日本より少ないため意外と日陰は涼しく汗はあまりかかない。ワークショップの課題文(課題名)の意味をここで初めて知ることができた。ひとまず、服を持っていなかったので大量にあるシャツの中からダサめのものをチョイス、これで生活には困らない。

ワークショップ中、現地のフィールドワークを通す中でも僕はアフリカでの物のあり方に関心があった。そこで目についたのは現地の物の使い方の自由さだ。使えるものはなんでもその場で転用、誤用を繰り返す、物が日本よりフラットに扱われている印象だ。傘釘に転用されるビールの王冠、物干場になる有刺鉄線、橋になる木製パレットなど。またこれらの自由な物の使い方により元の建物の躯体から領域を広げ商いをしたり、子供が寝る場所を作ったりと領域を拡張している。
このような観察からワークショップの製作では敷地となるYAMASENの建物の領域を現地の物を自由に用いて拡張することを試みた。

ロストバゲージから物を自分に必要な切実なものとしてワークショップ内で観察できたので発見が物の在り方に付随するものとなった。何も持っていない人間として現地をフラットに観察できたことが僕にとっては面白い体験だった。荷物も帰国後数ヶ月してから帰ってきて、今となっては良い思い出である。